日本でのここ5-6年のティピー型テントのトレンドを牽引しているブランドのひとつで、かわいいシロクマ印のロゴでもお馴染み「ノルディスク」。その起源は20世紀最初の年である1901年まで遡る。
始まりは、デンマークの食品店の息子であったハンス・オベ・ランが立ち上げた「Nordisk Fjerfabriuk A/S(北欧ダウン有限会社)という羽毛の寝具メーカー。ヨーロッパで獲れる上質なダウンを使った寝具は好評を得て、会社は順調に成長。やがてヨーロッパでは、1936年にフランスがはじめた有給休暇制度を機にレジャーへの関心が高まっていき、ノルディスクもアウトドアレジャー製品の開発に着手。
41年、まず作ったのは、寝具作りの経験を生かした寝袋で、それはダウンを中綿に使った世界初の封筒型寝袋となった。以降ノルディスクはアウトドア市場に積極的に進出するようになり、77年からはテントも作りはじめた。
そんなノルディスクの一大転機となったのは2005年。現社長であるエリック・モーラーがブランドを引き継ぎ、歴史あるブランドにふさわしい製品作りを始めたのだ。その最大の功績とも言えるのが、伝統的デザインのテントの復刻。さらにはコットンという素材にもこだわった。かつて日本で暮らしたことのある彼は、日本人がコットンの風合いを好むことに気づき、少しでも軽くコンパクト化できるポリエステルを混紡したテクニカルコットンを採用。
また、テントのネーミングも特徴的。テントには北欧神話に登場する国や親族、地名を、寝袋には北欧の歴史的著名人の名前をつけている。そして、シロクマは、北欧を象徴する野生動物である。製品作りにもネーミングにも北欧への思い入れがいっぱい詰まっているのだ。そんな伝統を大切にする気質が、ノルディスクの大きな魅力といえる。